こんにちは。理事の北本です。
ホームスクールについては、「卒業証書はもらえるの?」という質問が届きますが、結論から言うと「もらえます」
在籍小学校から、卒業証書がもらえなかったという事例は聞いたことがありません。
もしかしたら「もらえなかった人」は存在するかもしれませんが、もらえるはずがもらえない結論になった異例のことだと思います。
いつも私がブログで書いていることですが、積極的にオルタナティブ教育としてホームスクールを選択していたとしても、学校側から見れば「不登校児童」です。
これは、実は、一部のインターナショナルスクールでも当てはまります。
インターナショナルスクールは就学義務違反?
多くの人が知らないのですが、インターナショナルスクールは「一条校」(学校教育法で規定された学校)である場合と、一条校ではなく「各種学校」と認められている学校と、またどちらにも属していない学校があります。
要は認可・無認可が存在します。
保育園でも、認証、認可、無認可・・の振り分けがありますね。
それと似ています。
保育園では家庭側から見た違いは値段くらいなものですが、義務教育に入る小学校となると大きく変わってきます。
一条校と認められているインターナショナルスクールに通うことは、普通に小学校に通っていることになります。即ち、小学校の卒業証書ももらうことができ、地域の公立の中学校にも進学可能です。
しかし「各種学校」と認可されているインターナショナルスクール、または無認可のインターナショナルスクールは、学校教育法に於いて、就学義務を履行したことにはならず、小学校卒業資格を得ることが出来ません。
文科省のホームページにもはっきり記載されています。
(引用)「例えば一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた者が中学校から一条校への入学を希望してきても認められないこととなります。インターナショナルスクールの中学部の途中で我が国の中学校へ編入学を希望する場合も同様です。」
各種学校でさえも、義務教育を履行したと認められないのです。
実際に、何校かの公立小学校に問合せたところ「インターナショナルスクール在籍の児童に対しては卒業証書を出していない」とのご回答をいただきました。
ホームスクール・フリースクールは卒業証書が出るの?
インターナショナルスクールに通っている子は卒業証書は出ませんが、ホームスクールやフリースクールの子ども達は多くの場合、校長先生の判断で卒業資格を得ることができます。学校外の学び場に属していない不登校児童でも、卒業証書が出ます。
このジレンマはインターナショナルスクールに通うご家庭はどのように感じるでしょうか。
(フリースクールの中には「各種学校」と認められているところもあるようですが、そこに通う子ども達が在籍校から卒業証書を受け取ることが出来ているのかは調査中です)
現状の制度
現状は小学校での「卒業証書が出ない」=「卒業資格がない」ということになり、一条校の中学校には進学することはできません。
都内の某区の学務課に「地域の中学校に進学を希望しても入学できないのですか?」と問い合わせたところ、「できません」との回答が届きました。
「学校に1日も登校していない不登校の子への卒業資格はあるが、6年間、各種学校に属しているインターナショナルスクールで学び育った子には卒業資格はない」のだそうです。
現状は、とても大きなジレンマを抱えています。
更に「憲法と教育基本法においては、中学校も義務教育と分類されています。地域の中学校に進学できませんということは憲法違反にはなりませんか?」と、お聞きしましたが、「学校教育法に則っています」との回答に留まりました。
ジレンマの解決
実際はインターナショナルスクールに通いながらも卒業証書をもらっている子もいるようで、詳細を聞くとホームスクールやフリースクールと同様、卒業証書をもらえるかどうかは地域の在籍校との関係性にかかっているのが現状です。
地域の小学校の判断だけに委ねずに、もっと多様な教育を認められるような具体的なものが必要なのではないでしょうか。
例えば、高校を出ていない方が大学を目指す場合は「高等学校卒業程度認定試験」(旧大検)を受けて資格を取得することが出来ます。又、何らかの事情で中学校の卒業資格のない子が上級学校(高等学校以上)を目指す場合も同等に「中学校卒業程度認定試験」を受験するシステムになっています。
これは、小学校にも必要ではないでしょうか。小学校卒業程度認定試験。
地域の小学校の校長先生の面談等でもいいですし、ポートフォリオでもいいとも思います。
何らかの事情で小学校の卒業資格を得ることが出来なかった子が、また何らかの事情で地域の中学校に通いたいとなった時の救済措置は必要ではないでしょうか。
地域の公立校の役割とその他の大人の役割
各種学校に分類されるインターナショナルスクール、フリースクール、ホームスクールの子ども達に対して、公立の小学校がすべきことは共通していると思います。
とても大切なひとつの役割は「在籍する子ども達が安心安全に教育を受ける権利を行使しているかどうかの監督」ではないかと思います。
「監督」という言葉を使うと拒絶反応を起こすご家庭もあるかもしれませんが、国として子どもの安心安全を見守る義務がある以上、公立校の先生達は学習と並行して子どもの安全を見守る第三者としての役割がとても大きいと思います。
そして、各種学校に分類されるインターナショナルスクール、フリースクール、ホームスクールで子どもを育てる親たちがすべきことは「子ども達が教育の権利を行使し、安心安全に過ごしていると在籍校に認知してもらうこと」だと思います。
オルタナティブ教育を選択するご家庭と、一般的な公立校の先生達との間では教育観が合わずに意見の対立もあるかもしれません。
でも違う意見であっても、一番大切なのは「子どもファースト」であることです。意見の食い違いがあっても、子どものためにお互いの考えを共有し続けることがとても大切です。
特別何らかの事情でどうしても学校との面談を拒絶するご家庭があるとすれば、それはソーシャルワーカーさんなどが、代わりに行うことも必要でしょう。民間組織が入ることも必要かもしれません。
義務教育における多様な教育はまだまだ、守られるためのシステムが必要な気がしています。