不登校の息子と学校と友人たち|ホームスクール体験談

ホームスクール体験談
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皆様こんにちは、理事の岡田です。

年度間に連続または断続して30日以上欠席した児童生徒のうち(病欠や経済的理由によるものを除いて)何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいは、したくともできない状況を不登校であると認識されています。

息子が通学しなくなった事について、当初(17年前)、教室内では「病欠」と児童に説明していたそうです。こちらが「体調不良なので休ませます。」からスタートしたので、けして虚偽の説明をしていたわけではありません。
けれど、病欠が長引くことから 「ねえ、いつ来るの?」「何時になったら遊べるの?」 「お家に遊びに行ったらダメなの?」等の無邪気な言葉が日々教室に溢れるようになりました。

御気の毒に先生には答えようがありません。
先生にはある予感があったので不安で仕方がなかったのでしょう。
毎朝、こちらから欠席の連絡をする前に息子へ電話をかけてくるようになりました。 毎回、受話器からは「大丈夫?〇〇君、大丈夫?今日来れる?」という半分泣き声の早口が漏れ聞こえてきます。
一方、息子はやせ細り青ざめた頬をしながらも落ち着いていて「大丈夫、俺は大丈夫だから。先生は大丈夫?」と気遣っていました。

けれど大丈夫と言いながらも、一向に登校しようとはしません。
児童たちも先生の説明に対して次第に不審に思い始めたようです。しかも、息子が学校に来ないのに、習い事には以前同様まめに通っていることに気がついた子達がいたのです。

病気じゃないの?
何で学校に来ないの?
ずる休み?
〇〇君は、ずる休みなんかしないよ!
誰かが意地悪した?
A君(クラスメイト)じゃない?
そうだ、A君がいやで〇〇君は学校に来ないんだ。

子ども達の間で、犯人探しが始まり不幸にも名指しされたお子さんの親御さんが驚き、学校に問い合わせたところ「もしや不登校では?」と思い始めていた学校側から逆に事情を聞かれたそうです。
親御さんは衝撃のあまり不安が怒りに変わり、当時大変な取り込み中である我が家に怒鳴り込んできました。
元々怒鳴り込むつもりではなかったのでしょうが、我が子にかけられた疑いや汚名を晴らしたいと必死なご様子でした。無理もありません。
その時は一旦帰られましたが、後にそのことを耳にしたA君のお父さんが、今度はA君を同伴してご家族一同で謝罪に見えました。
事前に連絡があり「お宅のお子さんはうちの子が学校に行かない事とは関係ないので謝罪などはいらない。」と申し上げても是非にといらしたのです。
我が家としては「そもそも苛めが原因ではないし、学校にもそのように申し上げたことはない。たとえ子ども達が言うように学校内で何かトラブルがあったとしても、息子が学校に行かなくなった理由の数%にも満たない。本当の理由はまだわからないのだ。」と繰り返し申し上げるしかありませんでした。

同伴したA君が別室で息子の耳元に「来なくなったのは、B君のせいだろう」とささやいた時、即座に「違うし」と否定しながらも、息子は、(このままだと今度は、B君が「犠牲」にされてしまう)と考えたそうです。

そしてその嫌な予感は当たったのです。

息子は長期欠席が続いていたので、学校側としても日数的に不登校に突入したという認識があったのでしょう。子ども達の中にも、息子とは学校では遊べないという現実が伝わりました。
だからといって「ああ、そうだったんだね」では済まされません。
当時の学校の立場としては、とるべき道はただ一つ、あらゆる登校刺激の開始でした。

当時は不登校は「本人の甘え」「親の甘やかし」という穿った考えが主流であった暗黒の時代です。
在籍校の校長先生もまたそれ以外の考えをお持ちでいませんでした。
いつからか学校のお知らせやプリント、みんなで作った畑の収穫物を届けてくれるようになったのは先生ではなく主にB君の係になってしまいました。
息子は、何度か応対しましたが、B君の笑顔がだんだんなくなっていくのを見て、しだいに会わなくなりました。

B君の親御さんは、私に「うちの子が寂しがって前のように一緒に遊びたがっている」とおっしゃっていました。けれど、息子がB君に「家に上がって遊んで行く?」と聞いても黙って首を左右に振って帰っていったそうです。
学校から是非に母子で参加してほしいといわれた行事の中ではB君が、感動的な言葉で息子へ学校に戻るように語りかけました。
けれど息子が無表情でその言葉を聞き流した事から校長先生が大層お怒りでした。私も、仲良しの子に対して少し冷たいなと思い諭しましたが、それについても 「B君は、あんな目立つこと自分からする子じゃないから」とぼそっと言い放ちその後は無言でした。

息子は、B君が完全に学校の指示で動いていると考えていたようです。

何故、B君がそんな事をさせられてしまうのか。
前みたいに一緒に遊びたいと言うわりには、何故誘っても遊んで行かないのか。 色々息子なりに考えていたようです。

「B君が自分への登校刺激の駒にされている。B君と一緒に遊べるのは自分が学校に戻ってからという仕組みだ。B君も本当は駒になるのは嫌だって思っている」

そういう事にまで気が付いてしまう面が息子にはありました。

 

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