インターネット革命はホームスクールを産み落とした。
・十六世紀、印刷革命はドイツに宗教系の大学機関を産み落とした。
・十九世紀、産業革命はイギリスに小中高校の学校制度、義務教育制度を産み落とした。
・二十世紀末、インターネット革命は子供たちを教室から解き放ち、ホームスクールへと向かわせる
・IT、ネットワークによって場所・時間の拘束から逃れ始めた大人たちを追いかけるように。
ホームスクールが動き始めた。
ホームスクールとは何だろう。
人類が生まれてこのかた一番旧い学習形態である。
教育の基本は家庭にある、とはよく言われるところだが、本来教育権を持つ親が責任を持って子供の学習を支援することである。
もともとはヨーロッパでは北欧、オランダ、スコットランドなどで盛んである。
アメリカでは建国以来、親たちが支えあってタウンスクールをつくってきた歴史がある。
またピューリタンなどを始原とする厚い信仰心を持つ人たちが倫理教育を学校に求めることをよしとせず、自らの義務と権利で自宅を中心に、同じ信仰を持つ人たちで支え合ってホームスクールを実践してきた。
WASPと呼ばれる東部上流階級の人たちもまた家庭教師を雇ってホームスクールを実践してきた歴史があると言われる。
公教育の破綻が日本にさかのぼること約十数年、アメリカは新しい代替教育手段としてホームスクールを歴史の奥から引っ張り出してきた。
八〇年代後半からのホームスクールの成長はまさにすさまじいものがある。
全米ですでに二百万人のホームスクール実践者がいる。
ホームスクールの伸びは著しいものがある。
背景としてインターネットの普及があることはよく指摘されるとおりである。
インターネットは知的資源、教材の宝庫である。
また情報共有化の道具であり、議論の道具である。
「インターネット教育革命」(日野公三 著、PHP研究所刊 1999年)より