ホームスクールの始め方

ホームスクール100の質問
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ホームスクールへようこそ!

こちらでは、協会によく問い合わせされる「ホームスクールの始め方」についてまとめています。

またこちらの書籍により詳しく情報をまとめておりますので、もしよかったらぜひお手に取っていただけますと幸いです。

このページの最後に、本書の目次を添付しておきます。

以下、本書から、ホームスクールを始めるにあたって最低限押さえておかなければならないことの抜粋です。

ホームスクールとは?

ホームスクールとは、学校に行かず家庭で学習する方法です。「ホームスクーリング」「ホームエデュケーション」といった言い方もされます。アメリカやイギリス、カナダなど、欧米の多くの国ではホームスクールは制度化されていて、アメリカでは200 万人以上の子どもがホームスクールで学んでいるというレポートもあります。一方、日本では制度として認められておらず、まだほとんど馴染みがありません。

子どもの個性に合わせたよりよい教育環境を求める人たち

「Optout (オプトアウト)」という言葉があります。活動などから自らの意思を持って脱退するという意味ですが、ニュアンスとしては「既存の決まり、あたりまえからの積極的な離脱」です。

不登校は一般的に学校制度からの「脱落」、つまり「ドロップアウト」と捉えられがちですが、ホームスクールはそうではなく、学校制度からの「積極的な離脱─ オプトアウト」なのだと捉えることができます。もし今、お子さんが不登校で悩んでおられるなら、「オプトアウト」という選択肢があることを知っておいてほしいと思います。

ホームスクールと義務教育について

今の日本の法律に、ホームスクールは「やっていい」とも「いけません」とも書かれていません。つまり違法ではありませんが、推奨もされていません。では、子どもに義務教育を受けさせる義務、就学義務」についてはどうでしょう。

学校教育法では、保護者には子どもに9年間の義務教育を受けさせる義務があると定めています。

第17条
保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。(後略)
② 保護者は、子が小学校の課程、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十五歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部に就学させる義務を負う。

また、保護者が「正当な事由」なく子どもを学校に出席させていない、つまり就学義務を怠っているとみなされた場合には、教育委員会から督促を受けます(学校教育法施行令第20条、第21条)。

第20条
小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校及び特別支援学校の校長は、当該学校に在学する学齢児童又は学齢生徒が、休業日を除き引き続き七日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに、その旨を当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に通知しなければならない。

第21条
市町村の教育委員会は、前条の通知を受けたときその他当該市町村に住所を有する学齢児童又は学齢生徒の保護者が法第十七条第一項又は第二項に規定する義務を怠つていると認められるときは、その保護者に対して、当該学齢児童又は学齢生徒の出席を督促しなければならない。

督促に従わない保護者は、10万円以下の罰金に処せられます(学校教育法第144条)。ただし、これはあくまで子どもが教育を受ける権利を保障するために、その権利を脅かす保護者に対して罰則を設けているものです。

「正当な事由」があれば就学義務違反には問われない

「正当な事由」のあるなしに関わらず、子ども自身は学校に行かなくても罰せられません。また、「正当な事由」があれば、学校に出席させなくても、保護者に対し督促は行われません。
文部科学省は、「正当な事由」の「考えられる例」として、「① 事故や病気によるもの、② 不登校 など」を挙げています(文部科学省 平成18年初等中等教育分科会第40回配布資料「現行の就学義務履行の督促の仕組み」)。

子どもが不登校になり、「学校に行かずに勉強を進める」ケースは実際にあります。そういった家庭にはもちろん違法性はないわけです。子どもの意思を尊重した結果のホームスクールであれば就学義務違反にはなりません。

結論としては、子ども本人の希望による「不登校」という枠組みの中であれば、ホームスクーリングに違憲性は見られないという判断になります。

不登校児童・生徒の支援に関する文部科学省の考え方

不登校児童・生徒の支援、特に指導要録上の出欠の取り扱いに関する近年の文部科学省の考え方について紹介しておこうと思います。

令和元年(2019年)10月25日付けで、文部科学省から新たに「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知が出されました。これは、平成28年(2016年)12月に公布、翌年2 月に施行された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法) に基づいて、文部科学省が不登校への対応を取りまとめたものです。不登校への対応については、これまでにも4 回通知が出されていましたが、今回の通知をもってそれらは「廃止」となりました。今回の通知の内容は、旧通知とほぼ同様なのですが、一点大きな違いがあります。

これまでは「学校への復帰」を前提としての対応策と捉えられるような書き方がされていたところを改め、学校への復帰を無理には求めない方針を明らかにしたのです。

学校への復帰を前提とする施策ではなくなった

平成28年9 月の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の別記「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」には、「出席扱いの要件」に「当該施設への通所又は入所が学校への復帰を前提とし」という一文があります。

しかし、令和元年10月の新通知ではその文言はなくなり、代わりに「我が国の義務教育制度を前提としつつ」という言い方になっています。いわば、要件の緩和です。これまでの通知でも、基本的な考え方として、不登校児童生徒への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではないと述べられてはきましたが、その考えは学校現場になかなか浸透しませんでした。

改めて通知されたことにより、学校復帰を前提とする対応の変化や、オンライン教育、フリースクールなどの活用が進むことが期待されます。とは言え、どの機関にも属さず、完全なホームスクールを行った場合は、「出席扱いの要件」に当てはまりません。文部科学省には、考え方のさらなる進化を望みたいところです。

義務教育中の児童・生徒が不登校でも出席扱いになる要件最後に、令和元年の通知中の「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」ならびに「不登校児童生徒が自宅においてI C T 等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」から、出席扱いになるための要件を要約して紹介します。以前もすでに通知されており、目新しい内容ではありませんが、少し変更されたところもあります。

学校外の公的機関や民間施設において指導・助言などを受けている場合に、「出席扱い」とするための要件

① 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
② 施設とは、基本的には教育委員会などが設置する教育支援センターなどの公的機関とするが、事情によっては民間の相談・指導施設も考慮される(別記「民間施設についてのガイドライン」あり)。
③ 当該施設に通所または入所して相談・指導を受けること。
④ 学校外の公的機関や民間施設における学習の計画や内容が、その学校の教育課程に照らし適切と判断される場合には、当該学習の評価を適切に行い指導要録に記入したり、評価の結果を通知表その他の方法により、児童生徒や保護者、当該施設に積極的に伝えたりすること。

自宅においてICTなどを活用した学習活動を行った場合に、「出席扱い」とするための要件

① 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
② I C T(コンピュータやインターネット、遠隔教育システムなど)や郵送、F A X などを活用して提供される学習活動であること。
③ 訪問などによる対面指導(学習指導や将来の自立に向けた支援など)が、適切に、定期的かつ継続的に行われることを前提とすること。
④ 学習活動は, 当該児童生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること。学習活動を提供するのが民間事業者である場合には、「民間施設についてのガイドライン」を参考として、当該児童生徒にとって適切であるかどうか判断すること。
⑤ 校長は、当該児童生徒に対する対面指導や学習活動の状況などについて、対面指導に当たっている者から定期的な報告を受けたり、学級担任などの教職員や保護者などを含めた連絡会を実施したりするなどして、その状況を十分に把握すること。
⑥ I C T などを活用した学習活動を出席扱いとするのは、基本的に当該児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること。
⑦ 学習活動の成果を評価に反映する場合には、学校が把握した当該学習の計画や内容が、その学校の教育課程に照らして適切と判断される場合であること。

ただ、これら家庭学習が出席扱いになる要件は、学校には浸透していないのが現状です。教育現場の先生方に理解を深めていただきたいのはもちろんですが、我々ホームスクーラーが先頭に立って、社会に積極的に広めていく必要があるのではないかと私は考えています。要件を知っているかいないか
は、子どもの人生に大きな影響を及ぼします。重く受け止めて然るべきです。

目次紹介

第1章 我が家がホームスクールを選んだ理由

  • ホームスクールは特別なことではありません
  • ホームスクールのきっかけは次男のストレス
  • 「やりたくない」と言えたら体の不調が消えた
  • 保育園に行かない選択をした延長に、ホームスクールがあった

第2章 ホームスクールを始めるまでの道のり

  • 情報収集は主に海外のサイトから
  • 義務教育でホームスクールを行うことに法律上の問題はない?
  • 教育委員会への問い合わせ
  • 入学予定の学校で校長先生と面談
  • 学校生活のメリットとは
  • 登校するかホームスクールか?
  • 学校から提案された四つのパターン
  • 学校との取り決め
  • 不登校児童・生徒の支援に関する文部科学省の考え方

第3章 我が家のホームスクール

  • 我が家の毎日のスケジュール
  • 学習の土台「読み・書き・計算」は大切に
  • 生活体験と紐づけて学習できるのがホームスクールの醍醐味
  • 読書と作文の繰り返しで語彙と漢字が身についた
  • 時間の制限なく行う「調べ学習」はホームスクールならではの学習
  • ホームスクールの学習記録

第4章 様々なホームスクール事例

  • ホームスクールは家庭ごとに特色がある
  • 教育に必要なリソースは「時間」だからホームスクールを選んだ
  • お母さん一人で行う、「体験」を重視したホームスクール運営
  • 子どもの興味・関心を軸に学習を進める「アンスクーリング」の事例
  • ギフテッドの兆候がある姉と内向的な弟のホームスクール
  • 軽度の場面緘黙と起立性障害を持つ姉妹のケース

第5章 ホームスクールQ&A

  • ホームスクールを始めるのに、必要なものはありますか?
  • カリキュラム、学習計画はどう立てればいいですか?
  • ずっと家庭で学習していると、飽きたりモチベーションが下がったりしませんか?
  • 子どもが勉強を嫌がったらどうすればいいでしょう?
  • 通信教育や塾を利用するほうがいいでしょうか?
  • ホームスクールをしていて、進学は大丈夫でしょうか?
  • ホームスクールで失敗したと思うことはありますか?
  • 学校に行かずに、どうやって友だちをつくればよいですか?
  • ホームスクールとフリースクールの違いは何ですか?
  • どうすれば、ホームスクールと仕事を両立できますか?
  • 祖父母や親族の理解を得るには?
  • 子どもが学校に行きたいと言ったら?
  • 学校に行き始めたことで起こった子どもの変化や、学校のメリット・デメリットは?

第6章 ホームスクールを振り返って〜次男との対話〜

  • 学校かホームスクールかの選択基準は「何をやりたいか」

上記細かく知りたいという部分があれば、オープンチャットやライン公式、ツイッターなどからお願いします。

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