こんにちは。HoSAの佐々木です。
ホームスクールと発達障害は切っても切れない関係性にあります。今回はHoSAの公式ブログで特集を組ませていただいて、発達障害について大人が知るきっかけづくりを行っています。
子どもたち一人一人の持つ発達上の課題はそれぞれです。また、発達障害は身体障害とは違い、はっきりと目に見えないことから、他人から理解してもらえないというお話を前回行いました。
また、見た目だけでなく、具体的な症状に明確な見分けや判断もつけづらいことから、「この子は発達障害です」とはっきりと診断しづらいのが現状です。
こういった環境で、学校や組織集団に居心地の悪さを感じてしまったり、子ども本人が傷つかないように教育の選択肢を模索されている方は大勢いらっしゃいます。
HoSAへのホームスクールに関するお問い合わせも、体感としては3~4割がこういった事情をお持ちのお子さんです。
ホームスクール支援協会では、こういったスペシャルニーズを持つ子どもたちの安全、安心な教育の場としてもホームスクールを推奨しています。
特集を通して、発達障害に分類される自閉症・アスペルガー症候群・学習障害・注意欠陥性多動性障害について理解を深めましょう。
自閉症・アスペルガー障害の理解と接し方
今は、自閉症とアスペルガー障害は明確に分離せず、包括的な総称として自閉症スペクトラムと呼びます。英語ではAutism Spectrum Disorder(オーティズム・スペクトラム・シンドローム)といいます。
芸能人とかでも、「自閉症です」といって活動されている方ちらほら見かけますが、具体的にはどんな特性があるでしょうか。
自閉症スペクトラムの特徴は「社会的コミュニケーションの障害」「いつも同じ、限定的な行動」です。
つまり、人と話したり、協力したりすることが苦手で、一言でいえばマイペースです。
人がどう思うか、など共感に乏しいと判断されることが多く、人の話を聞いていないように見られることもあります。独り言が多い、相互的な会話の発展性がない、さらには俗にいう「空気」が読めない、という特徴があります。さらにいつも同じルーチンをこなすことにたけている反面、新しいことやイレギュラーな状況ではストレスを感じてしまいます。
症状としては、3歳までに見られることが多いとされ、自閉症は知的障害を伴うケースもあることから親が近くでよく観察することが必要です。
さらに、自閉症単体の特徴としては、言葉の遅れなどがあり、気づきやすいとされる一方、アスペルガー障害単体では言葉の遅れがないため、社会からは「ただの相手の気持ちがわからない、自分勝手な子ども」と思われてしまうこともあります。
自閉症スペクトラムの子が周囲すべての理解を強制することは難しいですが、親族はもちろん、関係する教育者がこの辺りを理解してあげることで、その子どもの社会的立場や精神環境の質は著しく向上するといえます。
自閉症スペクトラムでコミュニケーションが取れない…そんな時
コミュニケーションが難しく、指示も通りにくいお子さんの場合、少しでも改善するためにはどのようなアプローチが有効なのでしょうか?
ASDの子どもにかかわらず、すべての子どもに言えることではありますが、特にコミュニケーション上有効と考えられるのが以下のようなアプローチです。これらを知っているかどうかによって、大人のストレスもだいぶ変わると思います。
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わかりやすい言葉で、短く伝える。
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情報や指示は1度につき、一回。
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視覚優位の特性が強いこともあるため、絵や写真、ジェスチャーなどを取り入れてみる。
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話すときは、やさしく、ゆっくり話す。
さらに、周囲との問題になりそうな言動、問題行動があったとき、親や教師の注意はどうしたらいいでしょうか。
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ルールをわかりやすく伝える。コミュニケーション方法は一貫して、ゆっくり、はっきり、短く。
急に「ダメでしょ!」など漠然とした注意は恐怖を生むだけで、効果が薄いです。
何が悪いかがわかるように、ポイントを明確にすることが重要です。例えば、「順番を守ろう」「きちんとした姿勢で座ろう(お手本も見せる)」など、いかにわかりやすく伝えられるかがポイントです。
自閉症スペクトラムに関しては、特定の何かに対する並々ならぬこだわりが、強い個性や将来的なスキルにつながることもあります。人や社会に迷惑をかけていないのであれば、無理に矯正しようとせず、気長に見守ることが最善だと思います。
パニックへの対処
自閉症スペクトラムの子は、刺激に過敏。音や、光だけでなく、人から注意をされたり、これからどこに行くかわからないなど見通しが立たない不安な状況は、パニックを起こしやすいです。
HSCとされる子と同様で、パニックの原因を事前に把握しておくことが重要です。パニックにならないようにするのが、本人にとっても周囲にとっても一番良いですよね。
パニックを防止するポイントとしては、以下のようなものがあげられます。
- 気持ちを言葉にできないので、代弁してあげる。友達とトラブルになる前に、「こういう意味よね?」「○○ちゃんは***したいって言っているんだと思うよ?」などとコミュニケーションのサポートをしてあげる。
- 物事に見通しを立ててあげる。「これから***に行くよ?」「**分ぐらい車に乗るよ?」「時計の針が5になったら(25分になったら)終わりよ?」など。タイマーなどを使うのも良いです。
- 気にしがちな音、動きのあるもの、人、食べ物の温度、など過度に反応する刺激を知っておき、共有しておき、対処しておく。
- 急な変化、変更、は行わない。重度の自閉症の場合、ごみ箱の位置、壁紙の色、レイアウト変更などでパニックに陥ることもあります。
パニックになってしまったら…
とはいっても、常に子どもに合わせて行動し、パニックを防止することはできないのが現実。
パニックになってしまった場合の対処を知っている大人が周りにいるかどうかが、このような子どもの成長機会につながります。
パニック(癇癪でも)を起こしているときは、こちらの話を聞くことができません。したがって、私たち大人がやらなければいけないのは、
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刺激となっているものを取り除く、離し、それ以上過度の刺激を与えない。
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クールダウンするまで、放任せず、静かに見守る。(注目はしない。それがまた別の刺激となるため。)
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何かをやり始めたら、話し中でも一旦そのままやらせる。いつもやっている行動は自分を落ち着かせる転移行動です。
自閉症スペクトラムの子どもは、こちらの都合、大人の理屈が通用しません。そのため、感情的になってしまった場合は、安全を確保し、いったん落ち着かせることが最優先の対応になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は自閉症とアスペルガー障害を含む、自閉症スペクトラム(ASD)の特性とその対応方法、コミュニケーションの取り方、工夫についてまとめました。
繰り返し述べますが、こういった脳機能が関連する発達障害の子どもたちが幸せに生きていくためには一人でも多くの周りの大人の理解が不可欠です。
視認されずらい特性であるからこそ、我々大人がしっかりと観察し、適切な教育手段を導いてあげる必要があると考えます。
次回は、学習障害とADHD(注意欠陥多動性障害)について触れていきます。