「ホームスクーラーへの10の質問」アンケート報告

 先日、ホームスクール実践家庭の皆さんに協力いただいた「ホームスクーラーへの10の質問」WEBアンケート。
1週間という短い期間であったにも関わらず、日本在住の115家庭/160名分のホームスクール実践についての回答をいただくことができました(なお、海外からも2家庭回答いただきましたが今回のデータには反映されていません。ごめんなさい)。結果をまとめましたので、ご報告します。
ぜひこちらのデータをご自身のホームスクール導入の検討や、学校や周囲の方々、行政との「対話」ツールとして活用いただければと思います。

 <ホームスクーラーへの10の質問>
1.お住まいの地域
2.子どもの「現在の」年齢・学年
3.ホームスクーリングを「始めた」子どもの年齢・学年
4.ホームスクーリングをしている通算期間
5.ホームスクーリングに対する親のスタンス
6.ホームスクーリングをはじめた理由・きっかけ
7.家庭内での子どもの学び
8.家庭外の学び・つながりの場
9.日中の子どもの生育環境
10.保護者の立場
(自由回答)
・周囲に知ってほしいことや行政への法律改正や支援への要望
・夏休み明け「学校へ行きたくない」と言われたら…親御さんへのメッセージ(→この設問への回答はコチラのnoteをご覧ください

それでは、早速回答をみていきましょう。

<質問1>お住まいの都道府県

画像1

やはり…というか、関東地方在住の方が約7割と圧倒的です。続いて関西・中部地方と続きます。大都市から離れるほど、ホームスクールを実践する仲間を見つけるのが難しい状況はありそうです。

<質問2~4>子どもの「現在の」年齢・学年/ホームスクーリングを「始めた」子どもの年齢・学年/通算期間

画像2

画像3

画像4

ホームスクーリングを始めた年齢(質問2)は「小1」が一番多く続いて「小2」で、未就学児にも少なからずいることがわかりました。
お子さんの「現在」の学年(質問3)は「小2」が一番多く、ホームスクーリング期間(質問4)は3年未満の方が74%。

積極的な不登校としての「ホームスクール」がここ数年で認知されてきたのか、はたまたアンケート呼びかけの中心となった本マガジンメンバーの子どもの年齢層が影響しているのか、データからは判断できませんでした。
ただしアンケート発案者で、オルタナティブスクール「共育ステーション 地球の家」を2013年から運営している、代表の熊谷亜希子さんによると、この数字はご自身の「実感値に近い」とのことでした。

<質問5>ホームスクーリングに対する親のスタンス

画像5

「最初からホームスクーリングを選択している」と答えたのは3件のみ。子どもの不登校・不登園をキッカケに選択している方が大多数です。ただし、ホームスクーリングに全ての人が積極的というわけではなく、納得度にはご家庭ごと(親御さん・お子さん共)に異なりがあるものと思われます。

<質問6>ホームスクーリングをはじめた理由・きっかけ(複数回答可)

画像6

一般的な不登校のアンケートと異なりが見えるのが、この設問に対する回答ではないでしょうか。小学校低学年にホームスクールを始めた親御さんが多い、本アンケートの上位3項目は「学校環境が合わない(音、匂い、授業時間の長さなど)」「HSC(人一倍敏感な子ども)」「学校の授業が物足りない・つまらない」。一般的なアンケートで目にする「学業不振」や「家庭でのトラブル」は、下位の方になります。外から目に見えるわかりやすい理由ではなく「環境に適応することが困難」という、外の目には見えづらい理由を抱えているお子さんが多いことがわかります。

<質問7>家庭内での子どもの学び(複数回答可)

画像7

「子どもの興味や主体性に沿って、自由な学びをしている」家庭が一番多く、子どもの自主性を尊重している家庭が多い様子が見て取れます。
一方で、複数選択しているご家庭も多く、お子さんの年齢やテーマによっておとな主導の学習と組み合わせていることが予想されます。

<質問8>家庭外の学び・つながりの場(複数回答可)

画像8

家庭以外の学びやつながりの場としての1位は「好き」を追求するホームスクーラーならではの「習い事」でしたが、2位に公立学校(普通級)が入っているのは意外なのではないでしょうか。
 ホームスクールといっても、家庭のみならず、学校やフリースクールと組み合わせて通っているお子さんが少なくないことがわかります。

<質問9・10>日中の子どもの生育環境/保護者の立場

画像9

画像10

日中の生育環境として「家で保護者と過ごす」ことが多いと答えた方が約70%と多いものの「家に一人(または兄弟と)過ごす」と答えた方も15%おり、共働きやシングルで仕事とホームスクールの両立を図っていらっしゃるご家庭もありそうです。
また、子どもと接する時間が一番長いのは母(88%)。例えばワーキングマザーであれば、子育ての支援者としてもう少し「祖父母」の比率が多くなると思われるのですが(はっきりしたデータがなくてスミマセン)、ここでは1%。周囲に理解や協力をなかなか得にくいホームスクールの実状が伺えます。

<自由回答>周囲に知ってほしいことや行政への法律改正や支援への要望

自由回答であったにも関わらず、91家庭の方が「ホームスクーリングについて、学校や家族・親族など周囲へ知ってほしいこと、行政に対して法律改正や支援要請したいこと」に回答してくださいました。
詳しくはこのページの最後に全ての意見を掲載したファイルをアップするので、ご覧いただければと思います。少しでも中身を理解していただきやすいように、ざっくりと意見の中身を以下のように分けました(主観なので多少の認識のズレはお許しを)。

キャプチャ

↑「学校へ」「周囲へ」「国政・地方行政へ」「企業へ」で分類し、何に困っている家庭が多いか、ざっくりと見えるようグラフ化しました(9月15日追記)

画像11

↑ 小さくて読めないと思いますが、実際には皆さんこのようにギッシリ書いてくださり、様々なことに触れていらっしゃいます。

オープンに対話していくことで、少しずつ世の中は変わっていくはず

今回の115家庭/160名という回答数は、ホームスクーラーの全体数から考えると決して多くはありません(そもそも、ホームスクーラーの全体数が把握している調査がないことからこの企画ははじまっています……)。
でも、答えてくださった皆さんの書き込みの深さによって、今回コメントで触れた以外にも、見える傾向や新たな発見は、もっとあるのではないかと思っています。
ですから、この記事を見て、まずはご自身が何を思われたか。アンケート結果をツールとして誰かと「対話」してみて、何か反応はあったか。ぜひSNSやnoteで発信をお願いします。「学校以外の選択肢」や「ホームスクーリング」についてのオープンな対話が増えることで、結果はすぐに出なくても、少しずつ世の中は変わっていくと私たちは信じています。
(文責:藍@不登校家族のライフシフト

 

— 筆者プロフィール —

馬場 藍子

旅行出版社を経て、組織開発コンサルティング会社で、BtoB企業広報及びインナーブランディングに約15年携わる。娘が小1の不登校をきっかけに2018年末に退職。
学校以外の選択を、親も子も健全に成長できる充実したものにするために、ホームスクールの形を試行錯誤中。2019年7月に、ホームスクーラーの仲間10数人と共同運営マガジン「子育ての『再』デザイン」をスタート。家庭ごとに異なるホームスクーラーの日常を各人が綴り、記事はもうすぐ200となる。
あわせて、地元世田谷で「多様な学びプロジェクト@せたがや」にメンバーとして参画。「まずは自分の子どもと自分自身が健全に過ごすこと」が周囲や社会への良い影響につながると信じて、地域に密着した活動を展開している。

▼ホームスクーラー共同運営マガジン「子育ての『再』デザイン」
https://note.com/indigo_bear/m/m21140976c24f

▼多様な学びプロジェクト@せたがや
https://note.com/tayou_setagaya