ホームスクール制度についての国際比較

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ホームスクール、ホームスクーリング(homeschool,homeschooling)は、学校に通学せず(時には通学しながら)家庭に拠点を置いて学習を行うオルタナティブ教育の形式の1つです。他に、ホームエデュケーション( home education)などと呼ばれています。

ホームスクールがすでに多くの州で合法化されている米国などでは、ホームスクール以外にホーム・ベイスド・エデュケーション(Home-based education) と言う表現が使われています。ホームスクールにおける様々な手法についてはこちら

 

現在の世界におけるホームスクール事情における参考資料として、文部科学省HP内に「参考図表5 各国の義務教育制度の概要」がありますので是非ご覧ください。下記は一部抜粋し構成上横書きに直してあります。

 

 

日本

フリースクール、ホームスクーリングと教育義務・就学義務との関係

◇ 義務教育を学校以外で行うことは認められていない。
◇ 正規学校に籍をおきつつ、フリースクールにおいて相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができる。

 

米国

フリースクール、ホームスクーリングと教育義務・就学義務との関係

◇ ホームスクーリングはすべての州で就学義務の免除として認められている。
◇ ホームスクールの教員資格を規定している州は少ないが、多くの州では州が指定したテストを決められた学年で受けることを課している。
◇ 学習時間等の記録を学区に定期的に提出することが求められている場合が多い。

 

英国

フリースクール、ホームスクーリングと教育義務・就学義務との関係

◇ 義務教育を家庭で行うことも認められている。
◇ 家庭における教育を行う場合は、親が学校に対し除籍を申請する。
◇ ホームスクーリングには全国共通カリキュラムは適用されないが、地方教育当局は子どもが家庭で適切な教育を受けていないと判断された場合、就学命令を出すことができる

 

仏国

フリースクール、ホームスクーリングと教育義務・就学義務との関係

◇ 義務教育を家庭で行うことも認められている。
◇ 非契約私立学校への就学も教育義務の履行と認められる。
◇ 就学義務の猶予・免除の仕組みはない。
◇ 大学区視学官は年1回以上の学力検査を行い、学力不足と認められた場合は公立学校への入学命令を発する。

 

独国

◇ 義務教育を家庭で行うことは認められていない。
◇ 代替学校への通学は就学義務を満たす。
◇ 補完学校への通学には、就学義務免除の申請が必要。

 

韓国

◇ 義務教育を学校以外で行うことは認められていない。
◇ 未認可の代案学校に通う場合や、ホームスクーリングの場合、就学義務の猶予・免除を受ける。正規学校に籍を置くことは前提としていない。
◇ 原籍校に在籍したまま一定期間代案学校等で修学した課程は原籍校で認めてもらえる。

以上、抜粋。

 

その他に、表には含まれていませんがホームスクールが合法化されている国は、カナダ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、インド、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、ボツワナ、ケニア、フィリピン、シンガポール、マレーシア、台湾、チリ、コロンビア、ロシア、ハンガリー、チェコ等があります。スウェーデンとスイスでは一部の州での合法となっています。

また、イスラム教国で女性が学校に通うことが許されていない国々では女性達の教育はもっぱらホームスクーリングに頼っています。

ドイツをはじめとして、ギリシャ、スペイン、トルコ 等.非合法とされている国々もありますが、例えば非合法国である中国においても海外在住組にホームスクーラーが存在します。
中国本土の教育水準に満たない在住国の教育制度への不満等があるようです。
またドイツには独特の教育制度があり進路に関して多様な選択肢があり、代替学校※1も用意されています。オランダでは、イエナプラン※2という教育制度があり、日本の学校制度とは大きな違いがあります。またホームスクールも心身に障害などがある場合に限り許認可制が取り入れられています。

先だってまで普通教育が受けられる教育機関が一条校といわれる「学校」しかないという状態の先進国は残念ながら我が日本国等ごく少数でした。

※1 シュタイナー教育校・モンテッソーリ教育校・フリー・オルタナティブスクール
・教会運営の学校
※2 参考図書 リヒテルズ直子「オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ」平凡社 2006年

 

 

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